翌日は1日のんびりと過ごし、二日後、再び莫高窟へ。
せっかくここまで来たのに、結局半日しか莫高窟で過ごさないのはなんだか勿体ない。
別に一日だけしか行っちゃダメというルールはないんだし。

それに、一回入場すると10近くの石窟に案内されるのだが、その10カ所の選択はガイドさんに任されているらしく、今日はまた別の石窟を見られる可能性大なのだ。
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莫高窟ふたたび
2度目ということで(しかも二日酔いじゃないし)落ち着いて、いざ石窟めぐりへ。
実際のところ今日回ったのも前回とほぼ同じ石窟だったが、ガイドさんの説明を聞き流して、壁画を見るのに集中することができた。
第428窟は北周時代のもの。隋よりも古い時代。

もともと肌色だったところが変色してグレーになっているのが少し怖い感じだけど、 肉感的で力強い。
第257窟は、ラピスラズリを使って色をつけたという青がとても鮮やか!
部屋の中央にある柱の上部には穴が空いていて、そこに菩薩像がちょっと下を覗き込むような格好で座っていた。
この像は千五百年間もずっとこの姿勢でここにいたのかと思うと、なんだかとてつもない時間の流れが感じられた。

日本語ツアーが終わったあともゲートの外へは出ずに、今度は中国語ツアーの一団の後をつけてまわる。(ちょっと挙動不審なヤツ・・)
説明はもちろんチンプンカンプンだったけど、また別の窟を2つ見られて満足。

さらに博物館に足を伸ばすと、今回入ることができなかった特別窟の再現展示がしてあった。
長年夢見てきた莫高窟には、色鮮やかで生き生きした仏教画の世界が広がっていて、よくぞこんなにきれいに保存されていたものだと何かに感謝したくなった。
期待を裏切らない、とっても素晴らしいところだった。

さて、敦煌の街に帰る段になってちょっと困った。
すでにツアーから離脱しているので、帰りは適当なバスに乗ろうと思っていた。でも乗り合いバスのようなものは見当たらず、観光バスもすぐに出発しそうなのは全然ない。
一般の駐車場に行って、 自家用車に乗り込もうとしている夫婦に思い切って声をかけてみた。
10元で街まで乗せていってもらえませんか?と頼むと、OKしてくれてホッ。
こうして敦煌観光は無事に終了した。
中国のバスは忍耐力を試される
この日の夜、8時過ぎの夜行列車で次の目的地トルファンへ向かうことにしていた。
敦煌の町から最寄の列車駅「柳園」までは、バスで1時間ちょっとかかる。
余裕をもって柳園駅行きのバスに乗り込んだはずが、すぐにトラブル発生。
乗客のおやじが自分のうちに忘れ物をしてきたと言い出し、彼の自宅前で約10分停車。(おいおい、次のバスに乗ってよね!)
やっと出発したかと思ったら、今度は別のアパートの前で停車。どうやら誰かが出てくるのを待っている様子。
長~い15分が過ぎ、ようやく乗り込んできたのは、サングラス姿のかなり態度のデカイおやじ!
きっと政府のエライさんか何かなのだろう。「待たせてすまなかったね」という様子は微塵もみせないどころか、自分の座席がないと怒り出した。(一番最後に乗り込んできて、当然でしょ!!)
これにブチッと来た中国人旅行者の若者が怒りだし、おやじと口論しはじめた。手まで出し合って、ちょっとヤバイ雰囲気。でも周りの乗客は係わり合いになるのを恐れて見てみぬふり。
なんだかイヤ~な空気の漂うなか、バスは超特急で柳園駅へと走りだした。

列車の出発時刻の30分前、なんとか駅に到着。間に合ってホッとしつつ駅の構内へ足を踏み入れた。
するとホームから「ファーン」という警笛の音が!!
とっさに掲示板をみると、英語で“TIME OUT”と表示されている。えっ、まさか乗り遅れた!?頭が真っ白になった。
そこへちょうど話しかけてきたのがウルムチ旅行社の人。
英語が話せる人だったので、半分パニックになりながら尋ねると「列車は30分遅れで来る予定ですよ」と。
ああ、助かった!タイムアウトなんて、まぎらわしい表示をしないでほしい。
結局それから1時間ほどして列車はやってきたのだった。
それにしてもバスに乗るたびに忍耐力が鍛えられる。中国でバスに乗るときには、予定通り事が運ぶことはない、と悟ったのであった。