やっとのことで中国側のイミグレーションを出発したバス。
ここからパキスタンへ通じる道は、カラコルムハイウェイという立派な名前だけど、実際はほとんどが未舗装。(2005年当時)
バスは、おそらく時速20㎞ぐらいで進んでゆく。
あこがれのカラコルムハイウェイ
どうしようもなく辺鄙なところにも粗末な家が並び、道路工事をしている人たちがいた。
茶色でモコモコのマーモット(イタチとタヌキの間のような動物)が草むらの中からピョコピョコ顔を出していた。
バスの方をじっと見つめていたかと思うと、急にびっくりして穴に隠れたりする。
曇り空の上に霧まで出てきて、周囲の山々が隠れてしまっているのが残念。
この道路沿いの雄大な山の景色が見たかったのに・・・。
途中、川が道に流れ込んでいる場所でバスが立ち往生してしまい、乗客もバスから降りて後ろから押すことに。
皆がバスの後ろを頑張って押しているスキに私はトイレ。
国境通過
それから少しして、目の前にいきなり国境を示す石碑が飛び込んできた。
ここがクンジュラブ峠。標高4693mの中パ国境だ !
ずっとあこがれていた、道路としては世界一の標高だという国境。とうとう来ることができた!
私の感動にはおかまいなくバスが停車する気配は全くなかったので、あわてて窓を開けて写真を撮った。
あっという間にパキスタン側に入る。
しばらくするとベレー帽をかぶる兵士のいる小屋があった。中国側とは人の顔も服装も全然違う。
パキスタン側に入ると、広々とした中国側から一変して、急峻な岩壁の山々に挟まれはじめた。
谷底の川はグレー。波うちながら激しく流れている。
大きな貨物トラックが頭から川に突っ込んでいるのが見えて、ゾッとした。
大体このバス、しょっちゅう右に左に大きく傾いて、いつ横転してもおかしくない。
ススト到着
それでも何とか無事に、パキスタン側のイミグレーションがある集落、スストに到着。
中国時間では夜の9時だったが、ここで時計を巻き戻して、また夕方6時ということに。
イミグレーションはただの小屋。ここで入国審査と両替を済ませた。
さっきまで乗っていたバスはスストが終点なので、ここからはまた新たにバスを探さなくてはいけない。
グルミットへ
と、ラッキーなことに、ここまでのバスで隣だったパキスタン青年グラム氏が、この先の村グルミットまで車で送ってあげるよと誘ってくれた。
車はとっても小さい軽自動車だったが、大荷物の男たち3人が後部座席、私にはゆったりの助手席を提供してくれた。
車に乗っているメンバーはパキスタン人の友人同士で、中国にビジネスに行ってきた帰りだそう。
途中で食堂に入って腹ごしらえ。
メニューはひよこ豆のカレーとチャパティで、国境を超えると食文化もガラリと変わった。
食事をしながら車のメンバーとお互いに自己紹介。
驚いたのは、そのなかの一人が、私への質問を私ではなくグラム氏にすること!
見知らぬ女性と直接話すのはマナー違反ということだろうか?イスラム教文化を垣間見た気がした。
グルミット到着
夜も遅くなってようやくグルミットの村に到着。
ちょうどグルミットでは、村をあげての結婚パーティをやっている最中だった。
ガイドブックに載っていたゲストハウスに行ってみると、スタッフの若者が酔っ払っていた。(イスラム教だけど、この辺りのルールはゆるいらしい)
車で送ってくれた4人組はとても印象を悪くして「ここは危ない。泊まるべきでない」と言う。
仕方ないので別のゲストハウスに移動し、4人にお礼を言ってお別れ。
彼らを見送って、ふぅ~ヤレヤレ、と一息ついたところで、部屋をノックする音が。
何かと思ったら、今別れを言ったばかりの4人組。
向かいのホテルの警備員を連れてきて、「こいつは自分たちの友達だから、何かあったらこの人に助けてもらいなさい」と。
ありがたいけど、ちょっと心配性すぎるような・・・。
パキスタンの人は旅行者に親切だと聞いていたけど、ここまでだとは思わなかった。
今日は時差のせいで1日27時間。とっても疲れた一日だった。