昨日、日本語を話す運転手にタクシーツアーをお願いしたとき、てっきり彼が案内してくれるものと思っていたのだが、実際は別の運転手さんを紹介された。
この運転手はウイグル族で、確かアブラハムとかそんな名前だったので、アブさんと呼ぶことに。
交河故城
朝、ホテルまで迎えにきてくれたアブさんの車に乗り込み、まずは交河故城へ。
その名の通り、交差する二本の河に挟まれた木の葉型の台地の上に、漢から唐の時代にかけて栄えたという都市の遺跡が残っている。
沢山の建物跡があり、出入り口や窓、井戸などが残っていた。

窓の向こうには、岸辺の緑が覗いたり、すっきり晴れ渡った空が見えたり。昔の人も同じ景色を見ていたのだろうか。
アブさんの家でお昼ご飯
次に、学校の地理で習った記憶のある地下水路「カレーズ」と、モザイク模様の可愛らしいモスク「蘇公塔」を訪れた。

その後、アブさんが「お昼を俺んちで食べよう」と言うのでお邪魔することに。
細い路地の奥にある、土壁で囲まれたおうち。
庭にコスモスやひまわりが植わっていて、質素ながらもよく手入れが行き届いている。コンクリートの床の上にはカラフルなじゅうたんが敷き詰められていた。
丸顔の可愛らしい奥さんが、中華料理とイスラム料理をミックスしたようなごちそう(=ウイグル料理)でもてなしてくれた。
卵としし唐とトマトの炒め物、羊肉と豆と野菜の炒め物、鯉の唐揚げ、トマトとしし唐とキュウリのサラダ、白米。
どれもすご~くおいしかった!デザートにスイカとハミ瓜までいただいて、もう満腹。
ベゼクリク千仏洞
さて、午後からの観光へ出発!
アブさんの一人息子ハルジャンくん (7歳) も一緒に行くことに。
遠慮して後部座席の真ん中にちょこんと座る彼。色白で、まつ毛が長くてすごくキュートだ。
孫悟空の芭蕉扇で有名な火焔山の横を通りがかった。
太陽の位置のせいか思ったほど赤くはなかったけど、炎のような筋が確かに沢山ついていた。

車は無人の荒野をどんどん走り、峡谷の中を登ってゆく。
一面茶色の世界。行き着いた先はベゼクリク千仏洞だ。

ロケーションはとてもよいが、イスラム教徒に破壊されてしまったらしく、石窟の中の仏教壁画はほとんど残されていなかった。
敦煌を先に見てきた私としては物足りない。
ただ、こんな人っ子ひとり寄り付かないような辺鄙なところに、コツコツと仏教の世界を築き上げた昔の人たち。すごいと思った。
美しいウイグル村
さらに「吐峪溝(とよくこう)」という、昔ながらのウイグル集落を訪れた。

日干しレンガで造られた薄茶色の小さな家が立ち並び、その間の細い路地はまるで迷路のよう。
村の中を水路が走っていて、そこが村の人の憩いの場になっていた。
覚えたてのウイグル語で「ヤクシムースィス(こんにちは)」というと、にこにこ返事をしてくれたり、まぁここに座っていけ、と言われたり。
外国人がめずらしのか、どんどん人が寄ってきた。

女の人は白い肌にグレーがかった大きな瞳がとてもきれい。おじいさん達は、白くて長い髭にひょうきんな目つきがいい感じ。
必死でガイドブックの「ウイグル語会話」を試してみる。
なんだかほのぼのした雰囲気に包まれて、もっと長居したいところだった。
砂漠で野宿!
さて、本日の最終イベント、砂漠へと向かう。

黄色いラグビーボールのような形をしたハミ瓜を満載したトラックが行き交う街を通りぬけ、どんどん郊外へ。
近くの民家で休憩してから、てくてく歩いて砂漠へと向かった。
一見、ただの裏山のような雰囲気だったけど、実際に足を踏み入れてみるとまぎれもない砂漠だ。

うねるような稜線がどこまでもつづく。
日の当たる部分と影とのコントラストがきれいで、新しい景色を求めて奥へ奥へと行ってしまいそうになる。
これが砂漠の魔力というものなんだろうか・・
リュックを枕にごろんとなると、今日一日の疲れが体に広がった。
地面はポカポカして砂蒸し風呂に入っているよう。
さっきの民家に泊まってもいいんだよとアブさんに言われたが、あまりにも気持ちいいので今夜はこのまま野宿することに。
空がふわーっとピンク色に染まり夕陽が沈んでゆく。
いつのまにかウトウトし、ふと目が覚めると空には一面の星。
流れ星をひとつ見つけ、またすぐに眠りに落ちた。