ギルギット2日目の朝、すごく憂鬱な気分で目が覚めた。
昨日はほとんど何も食べなかったのに、お腹もすいていない。
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ギルギットの住民
とりあえず商店で何か買ってこようと宿の外へ出ると、知らない男の人に呼び止められた。
「昨日荷物をなくしたでしょ?ラジオ放送したでしょ?その荷物、アリアバードで見つかったらしいよ」と。
実は昨日のうちに、荷物を見つけるように呼び掛けるラジオ放送をしてくれていたのだった。
荷物が見つかったなんてホントかな~と思いながらも、ちょっと気分が上向いた。
マディナホテルの人は本当に親切で、いろんなところに電話をかけて私の荷物を探そうとしてくれる。
街の人たちも、また親切。
お昼を食べた店では「お代はいらないよ」と言われ、Tシャツが売っていないかなと入った土産物屋では「落ち込んでいるみたいだから、しばらくゆっくりしていったらいいよ」と椅子を勧められ、サンドイッチまで買ってきてくれた。
朝アリアバードで見つかったという荷物は、オールドフンザインというカリマバードのホテルのオーナーがわざわざ確認に行ってくれたという。 (私はそのホテルに泊まっていないのに!)
でも結局、私の荷物ではなかったと判明した。
「日本人が荷物をなくしてしまったらしい」との噂はギルギットの街中に広がっており、いろんな人が気にかけてくれて、「あと2日もすればきっと見つかるよ」と慰めてくれた。
こんなに親切な人たちは、世界中さがしてもなかなかいないんじゃないかと思った。
生活用品ショッピング
それにしても困るのは、生活用品が全て消えてしまったこと。
本当に着の身着のままなのだ。
シャワーを浴びても着替えがないし、ヘアブラシも化粧水も何にもない。
ホテルの男性スタッフが付き合ってくれて、買い物にでかけた。
街なかで気づいたのは、ギルギットは完全な男社会で、街には男の人しか歩いていないということ。
しかもほぼ全員がダボっとした民族衣装(シャルワールカミーズ)を着ている。
まずは洋服探し。
Tシャツの1枚でも買えれば思っていたが、びっくりなことに“西洋風の服”は全く売っていなかった。
仕方なく、またオーダーメイドでパキスタン風チュニックとズボンのセットを注文した。
また下着を買うのにも苦戦した。
街にあるのは昔ながらの小さな店ばかり。 店員は100%が男性。
下着屋さんでは、パンツなどがご丁寧にガラスケースの中に並べられていて、男性店員に頼んで取ってもらわないといけなかった。なんだかとっても抵抗を感じる仕組みだ。
さらに一番の気がかりのコンタクトレンズ。
今、目に入っているのは使い捨てコンタクト。替えのコンタクトや保存液、眼鏡などは、全部消えてしまった。
荷物がなくなって以来、2日間同じコンタクトを入れっぱなしでなんとかしのいだが、もう限界。
ところが、とてもラッキーなことに、ギルギットにはアメリカ人眼科医のいるクリニックがあった。
そこで新しい眼鏡を超特急サービスで作ってもらい、心からホッとした。
黒縁のすごーく地味でダサい眼鏡だけど、そんなこと言ってられない。
思い出のお土産になってしまった。