シルクロード旅日記 ㊳ギルギットで民家にホームステイ

アイホスピタルで眼鏡を調達した日の午後のこと。

マディナホテルのオーナーMrヤクーの奥さんが女性用衣類の店をやっているというので、ホテルのスタッフが連れていってくれた。

ホテルのオーナーのおうち

奥さんのお店は街なかにあるのかと思いきや、 住宅街の中のMrヤクーの家の中にこじんまりとあった。

なるほど、市街地を気軽に出歩けない女性たちは、こういうところで買い物しているのか。

Mrヤクーの奥さんはイルファーナという名前。

ほかに、イルファーナのお母さんや妹たちがいて、居間でしばらくおしゃべりして過ごした。

おしゃべりもひと段落して、イルファーナの店で下着を買わせてもらう。

すると、イルファーナの妹が、私の着ていたチュニックに合わせた黄緑色のネックレスをお店で選んでプレゼントしてくれた。

それでお礼を言ってホテルに帰ろうとすると、みんながこのままここに泊まっていけと言ってくれる。

何度か遠慮したけれど、最後にはお言葉に甘えることに。

あとから聞いたところ、 Mr ヤクーが落ち込んでいる私に気分転換させてやろうと、自分の家に泊まるようにセッティングしてくれたのだった。

イルファーナの娘エイネンと親戚の家事見習の娘ズビ、ふたりの12歳の女の子は私のことをアンティ(おばさん)と呼んでくれて、とってもかわいい。

ふたりともイルファーナの指示に従ってクルクルとよく働いていた。

パキスタン風カレーの作り方

しばらくすると、イルファーナが夕飯の準備をし始めた。

「手伝ってくれる?」と言われて「はい!」と答えたものの、テキパキ作業を進めるイルファーナの横でお米を洗っただけで終わってしまった。

彼女がカレーを作るところを見学させてもらう。

丸ごとの玉ねぎ5個とニンニク、5センチほどの水を圧力鍋に入れて、まず火にかける。すると10分ぐらいでトロトロの玉ねぎペーストのできあがり。

これは初めて見るやり方だけど、よくある「玉ねぎをあめ色に炒める」というのよりずいぶん簡単だ。私も真似させてもらおうっと。

その後、玉ねぎペーストに油たっぷり(なんとお玉2すくい)とチキンとトマトを入れて煮込み、マサラパウダーとチリパウダーで味付け。さいごにミントを入れてひと混ぜしてカレーの完成!

夕飯メニューはチキンカレーにキュウリの輪切り、ごはん、スライスケーキ入りカスタードクリーム。

テーブルクロスを床の真ん中に敷き、皆で囲んで座った。

女の子ふたりがあれやこれやとお手伝いをするのに対し、男の子ふたりは「ママ~」と甘えてなにかしてもらったり、ぐずったりする他は何もしない。

こうしてパキスタン男が養成されていくわけか・・・。

他にも成人しているイルファーナの弟二人がいたが、自分たちの食事が終わるとすぐにゴロ~っと横になってしまった。

お皿を下げようとか、テーブルクロスを片付けようとかいうそぶりは全くなし。

私もお世話になっている身で文句は言えないが、男性陣の態度のデカさにおどろいた。

最高のおもてなし

食後は「外に行くから一緒においで」と言われて真っ暗な道をゆく。

イルファーナは、地面に穴があるから気を付けてと教えてくれたりして優しい。

たどり着いた家はズビの実家で、玄関先にゴザをしいてみんなでくつろいでいた。

目的はイルファーナのおしゃべりだったらしく、私たちにアイスクリームとダウロというドロドロスープに麺が入った料理を出してくれた。

また真っ暗な道を歩いてイルファーナの家に帰りつくと、大きなベッドのある夫婦の主寝室を「今日はここはあなたのものよ」と言って提供してくれた。

私は居間で雑魚寝で十分だと言ったけど、どうしてもと言われてしまった。

最大限のもてなしをしてくれることに感動。

しばらくすると停電になり、エイネンとズビといっしょに手をつないで歌を歌って過ごした。

そして「お休みなさーい」と言いあってから、イルファーナはまたミシンを取り出して何やら作業。パキスタンの女の人は大変なんだなぁ。

お母さん式お祈り方法

翌朝、朝ごはんはたっぷりの油で焼いたトーストと目玉焼き。塩入りミルクティー。

朝8時までに仕上げる服があり、9時にはミシン教室の生徒が来るそうで、イルファーナは大忙しだ。

それでも10分ぐらいかけてのお祈りは欠かさない。

お祈りの間は静かにしていなくちゃいけないのかと思っていたけれど、子供たちはワーワー、周りの大人もペチャクチャ。

しかもイルファーナもお祈りを中断して、大声で何か言い返している。

でもすぐに元にもどって、ブツブツとお祈りの言葉を唱えだすのが面白かった。

忙しいイルファーナにお礼を言っておいとまする。

突然お邪魔したのに、とても温かく受け入れてもらって本当にありがたかった。

荷物はなくなってしまったけど、こんなにいい人たちに出会うことができて、なんて私は幸せなんだと思えた。

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